焼き芋に魅せられた店主の、愛情が詰まった専門店

やきいも 丸じゅん(やきいも)

碧南市民図書館南の交差点角。「焼き芋ワールド」と書かれた大きな門に誘われるように、次から次へと駐車場にクルマが出入りする「やきいも 丸じゅん」。会社勤めをしながら、焼き芋作りに夢中になったオーナーの石川順一さんが、定年退職後に奥様と始めた焼き芋専門店です。

幼い頃から焼き芋好きだった石川さんは、食べるだけでは物足りず、いつしか焼き芋を作ることに没頭。会社員時代には職場の同僚たちに焼き芋を振る舞うなど、石川さんの腕前は友人、知人の中ではお墨付きでした。

ある時、鹿児島県の種子島で食べた焼き芋の味が忘れられず、「あの感動をみんなにも味わってほしい」と開業を決意した石川さん。もともと実家の米蔵だった建物をリノベーションし、2009年にお店を始めました。

芋を焼く際には、焼き芋用の専用窯を使用。石焼きの良さを兼ね備えながら、より焼きムラが少なく、メンテナンスにも手が掛からない特注のガス窯です。

原材料となるサツマイモは、年間約50銘柄にも及びます。芋の収穫期は秋から翌年の春ごろまでがピークで、鮮度が良いほど風味が豊かであるという性質の一方、芋を寝かせて貯蔵することによって甘みが増すという特性も。そのため、丸じゅんでは最低2カ月間寝かせた芋を使用しています。

芋と対話をするように、その銘柄や状態に合わせて加熱温度を微調整しながら、およそ1時間かけてじっくり加熱。表面は香ばしく、中はねっとり、蜜が凝縮した絶妙な焼き具合に仕上げます。

ビギナーからリピーターまで外せない定番は「やきいも」(100g150〜300円)で、ネットリ系とホクホク系をラインナップ。蜜がたっぷり、ねっとりなめらかな食感のネットリ系はしっかり甘いのにくどくなく、後味がさっぱりしているのが特徴です。

焼き芋スイーツの人気筆頭は「焼き芋かすてらアイス」(488円)。芋かすてら、芋ソフトクリーム、大学芋、揚げたサツマイモが入った芋尽くしのパフェです。揚げたサツマイモはスプーン代わりにしながらパクリ。写真映えする見た目にファンが急増中です。

焼き芋のおいしさを追求することに余念がない石川さん。全国を飛び回って研究を重ねる中で、スイーツ感覚で食べられる「元祖 冷やし焼き芋 ひえひえ君」(500円)を考案したところ話題沸騰。今では、他店からも類似商品が登場するほどの大ヒット商品になりました。

どの銘柄も必ず試し焼きをして、切った時の断面の状態や色、味わいをチェックし、納得した物だけをお客さんに販売しているというこだわりぶり。それでも石川さんは「芋はあくまでも趣味なんです。ビジネスではなくて、道楽と思ってやっているから熱が入るし、楽しみながらできる。お客さんに喜んでもらえるのが人生の喜びです」と話します。

「丸じゅん」から漂う芋が焼ける甘い香りも、今や通り沿いの名物に。これからも碧南を代表する人気店として、愛情たっぷりの焼き芋で笑顔の輪を広げます。

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