瓦の美しさに魅せられた建築士が描くのは、未来へつなぐ瓦屋根が連なる町並み。
相澤眞一建築士(新昭和)
住宅事業をはじめ、マンション、不動産、土地活用・開発事業など町づくりに対して多角的に取り組む「新昭和」。
なかでも「WITHEARTH(ウィザース/現在のウィザースホーム)」をコンセプトとした住宅事業においては、
施主様の憧れや思いに寄り添う物語のある一邸づくり、未来を考えたレジリエンスな住まいなど、
本質的に優れた家づくりを追求しています。
今回は、三州瓦を使った住宅を多数手掛ける建築士の相澤眞一さんに瓦屋根の魅力についてうかがいました。
設計の仕事を深く愛し、65歳を過ぎてもなお、精力的に仕事を続ける相澤さん。建築士として、日本全国に施工例を持っています。
以前は、新昭和(現在のウィザースホーム)などの注文住宅を企画する商品開発部門を担当していましたが、
現在はホテルや事務所など大型の商業施設を担当されるケースが多いそうです。
これまで手掛けた数多の住宅施工例を振り返ると「99%は瓦屋根。瓦屋根の場合は100%三州瓦を採用してきました」とのこと。
「木造住宅のみならず、鉄筋コンクリート造りのRC住宅においても、
数十年前から瓦をのせやすい仕組みが構築されていたので、許される限り瓦を使っていました」と相澤さん。
どうしても瓦を使えない構造や、お客様の特別な要望があった場合を除いては、ほとんどの施工例で三州瓦を採用してきたそうです。
瓦屋根の魅力について尋ねると「色っぽさですね。瓦には、他の屋根材では到底及ばない色気があるんです」。
焼き物ならではの質感、重量感、優雅さ。
すべてのエッセンスを相澤さんは「色っぽさ」「色気」という感性豊かな独特の言葉で表現してくださいました。
一般的な住宅のオーダーに加え、モデル住宅の施工例も多い相澤さん。
「モデル住宅を考える時は、私の中での選択肢は瓦一択です。純和風住宅の場合はもちろん、
南欧風の場合にも三州野安さんの<セラマウント>に象徴されるように、いろいろなバリエーションが選べます。
多くのお客様はモデル住宅を気に入って発注をしてくださるので、必然的に実際の施工例も瓦が主流となります」。
印象深い施工例として挙げていただいたのが、千葉県の海沿いに建てたヴィラタイプの邸宅です。
「リゾート地にあるヴィラのような南欧風の邸宅で、プールを囲むようにいくつかの棟が建っているという設計。
こちらにも三州野安さんの瓦<セラマウント>を使用しています。」
海と空のブルーに、瓦特有の優美な色合いやエレガントなフォルムが良く映えます。
また三州瓦の場合、伝統に裏付けされた産地としての盤石の体制も安心感につながっているとのこと。
「今まで不都合を感じたことがないんです。クオリティ、量、納期など不備があった記憶がない。
当たり前のことを当たり前のこととして続けられる。それが一番すごいことだと思います」と相澤さん。
三州瓦への信頼度の高さがうかがえます。
「三州野安さんとは、まだCADではなく、手描きで図面を描いていた時からお付き合いをさせていただいています。
図面にいろいろなマーカーを使って色を塗るのですが、図面で表現した屋根のイメージに合う色の瓦がなくて。
その図面の色に合うような瓦を目指して試行錯誤してくださったのですが、
瓦は焼き物なので、マーカー通りの色を出すことは至難の業ですよね。
それでも何とか造り出そうと苦心してくださったことを、今でも覚えています」と思い出話を語ってくださいました。
「毎年集まっている高校時代の同級生に言われたことがあるんです。
1棟1棟の家づくりを追求するだけではなくて、もっと町並みを考えてほしいって。
建築とは無縁の業界にいる旧友たちの声だからこそ、すごく心に響きました」。
相澤さん自身も西欧へ渡航する際、飛行機に乗りながら、上空から見下ろす美しい町並みにいつも強い憧れを抱くそうです。
「壁も屋根も色が統一されていて本当に美しい。
いつか、日本が誇る美しい瓦屋根が並ぶ、日本らしい町づくりに携わってみたいですね」。
「何百年と受け継がれる建築物と、新しい建物が見事に調和する理想の町。そのためには、瓦屋根が欠かせません。
セラミックは永遠という言葉もあるように、
今後、何百年先の世代に向けて日本ならではの風景をつなげるためには、瓦という屋根材以外に考えられませんから」。
そう話す相澤さんは、陽光を受けてきらめく“瓦屋根が並ぶ日本の町並み”を思い描いていらっしゃるようでした。