国産大豆100%で作る、自分の子どもに食べさせたい豆腐

おとうふ工房 いしかわ

「おとうふ工房 いしかわ」の創業は明治時代。初代石川兼三郎さんが、百姓の半農半商として碧海郡高棚村(現安城市高棚町)で豆腐作りを始めたのがきっかけです。時を経て平成になり、4代目を継いだ現在の社長・石川伸さんは、とある自然食品店の社長との会話から、輸入大豆が台頭していた豆腐業界に疑問を抱き「自分の子どもに食べさせたい、安全で安心な豆腐を作ろう」と原点回帰を決意。国産大豆とにがりを使い、昔ながらの製法、味わいを大切に受け継いでいくために手間をかけ、心を尽くした豆腐や厚揚げ、油揚げなどを製造・販売しています。

石川さんは、まず使用する大豆の見直しから着手しました。当時は輸入大豆を使用する豆腐作りが主流でしたが、日本国内で作られる大豆の中からタンパク質含有量が多く、豆腐製造に適した大豆を厳選。現在は産地や品種ごとに分別し、製品によって最適な大豆を使用しています。

また、豆腐業界全体を見渡しても、にがり寄せの豆腐作りを経験したことのある人がほとんどいなかったことから、独自に研究を重ねてにがりを加えるタイミングや量、混ぜる手法などを試行錯誤。トライ&エラーを重ねることで、国産大豆とにがりを使った豆腐の商品化を実現しました。

製造工程では、水に浸してふくらませた大豆の状態を職人がチェックするなど、豊富な経験に裏付けされた作り手の目や技が決め手に。古くから受け継がれる全国の伝統的な製法を学び、先人の知恵を生かしながら、新たな味わいを創造しています。

定番の豆腐や油揚げといった商品以外にも、豆腐にもっと親しんでほしいと豆腐やおからを素材に使ったお菓子やパン、デザートなどもラインナップ。豆腐のおいしさを気軽に楽しめるカジュアルレストランや移動販売、商業施設内のショップなど、多様なスタイルで豆腐の魅力を発信しています。

この日のお目当ては、看板商品である「究極のきぬ」、「至高のもめん」(各270円)です。子どもに敬遠されがちな、大豆独特のクセのある匂いをマスキングする役割も果たすというオリゴ糖を配合し、豆腐の旨味を最大限に引き出すために、大豆から搾油した大豆油を配合。独自の製法により、豆腐が苦手な子どもも豆腐好きになるような味わいに仕上げています。冷奴の薬味にぴったりの愛知県産大葉が付いているなど、細やかな気配りが感じられるのも、人気のポイントです。

使用している大豆はすべて国産、遺伝子組み替えのない大豆100%を貫く「おとうふ工房 いしかわ」。「生産者と消費者をつなぎ、実需を含めた3者で大豆を取り巻くよりよい関係づくりを」との想いから、豆の収穫時期前後には大豆の契約農家を訪問し、その時々の作況や互いの課題、意見の交換などを通じて交流しているとか。丹精して大豆を育てる生産者の思いを消費者に届けることで、日本の農業を応援し続けるという志も込めているのです。

「“子どもたちが、いしかわさんの豆腐を出すと、おいしいと言って喜んで食べてくれる”というお客様も多く、そういった声が一番の喜びです」と石川さん。子どもたちの未来のために、環境への配慮や食育、社会貢献活動にも積極的に注力しているそうです。地球のことを考え、地域で愛されるお豆腐屋さんとして、「ありがとう」や「おいしい」から生まれる笑顔の輪を広げています。

 

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