瓦葺きの技術を未来へと繋ぐ老舗屋根工事会社。

坪井利三郎商店

名古屋市の中心部・中区に本社を置く坪井利三郎商店は、屋根や外装を専門とする工事会社です。

明治35年の創業以来120年以上の歴史を持つ老舗屋根工事会社ですが、

固定観念に捉われることなくチャレンジを続けています。

その精神について常務執行役員の寺西さんにお話をうかがいました。

 

坪井利三郎商店の歴史は1902年、初代利助が厳しい修行の末に家業として独立したところから始まりました。

今の名古屋パルコが建つ土地で創業しましたが、

現在はかつて名古屋城の瓦を製造していたとされる「瓦町」に居を構えて営業。

「坪井利三郎商店」という社名は、家業を受け継いだ2代目利三郎が、

会社の形へと事業を転換させたことが由来となっています。

業種を転換するにあたり利三郎が重きを置いたのが「お客様とのコミュニケーション」でした。

工事の技術は、一定以上のレベルになると差別化が難しくなります。

しかしコミュニケーションにはゴールがありません。

お客様が求めるものと齟齬のないサービスを提供するには、

お客様に寄り添い、必要な情報のキャッチボールをすることが重要なのです。

そうした想いも込めて、「工事店」などの名称を用いず、社名を「商店」としています。

そうした利三郎の考え方は、現在にまで受け継がれています。

「例えば雨漏り修理を望んでいるお客様がいたとして、

数年後に引っ越しを予定されている場合は、限られた期間をしのぐ補修ができれば問題ありません。

しかし今後何十年もそこに住み続けるお客様には、将来への不安を取り除くべく、

屋根の葺き替えなど根本的な解決の提案を行います」と寺西さん。

お客様一人ひとりの住まい方に合わせた提案をできることが坪井利三郎商店の強みです。

 

そのような姿勢と技術が評価され、一般住宅はもちろん、寺社仏閣やテーマパークに至るまで様々な工事を請け負うように。

施工事例は大須観音や豊川稲荷、名古屋市能楽堂や名古屋城本丸御殿や有名テーマパークの屋根工事など、

枚挙にいとまがありません。

写真提供:名古屋城総合事務所

工事を行ううえで絶対に欠かせないのが職人の力。

お寺の屋根を葺く際には、地面から屋根を見上げたときの絵面を考えながら、屋根の上で作業をしなければなりません。

計算や図面では判断しきれない、経験によって得られる勘やバランス感覚がものをいうのです。

坪井利三郎商店では職人の育成にも注力しており、20代以下の若手が10人以上在籍。

建築業界において自社で職人を抱えるのは並大抵のことではありませんが、

寺社仏閣をはじめとした建築文化を未来へつなぐべく、未来の瓦葺き名人を育てています。

長年屋根に向き合い続けてきた坪井利三郎商店では瓦について

「まだまだ可能性を秘めている素材。

屋根材だけではなく、道にタイルとして使ったり。

他にも色味で遊べるのも瓦ならではの魅力。

海の近くにある家を海と同じ色の瓦屋根にしたらきっと素敵だろう、とか。

付加価値を訴求すればもっと良いところが活きてくるのでは」と語ります。

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