伝統と革新が融合する、老舗蔵の酒造り

中埜酒造なかのしゅぞう

三百有余年もの歴史があるという、知多の酒。酒造りに適した気候風土や良質な酒米、清らかな水に恵まれたこの地で造られた酒は、海上交通によって江戸に運ばれ、18世紀末には江戸に入る酒の約3割を占めたといいます。

そんな銘醸地・知多に「國盛蔵(現在の「中埜酒造なかのしゅぞう」)」が創業したのは1844年のこと。「國盛」の名には、「国の繁栄を願い、それとともに我が酒の盛んなること」という思いが込められました。

「國盛」の酒造りには、今も伝統の技が受け継がれています。例えば、大吟醸酒に使う麹(こうじ)は、昔ながらの手作り。「ムロ」と呼ばれる専用の部屋で蒸米に麹菌の胞子を振りかけ、温度・湿度を細かく調整しながら麹を繁殖させる工程では、熟練の蔵人の勘と経験が頼りです。

できあがった麹に、蒸し米、仕込み水を合わせ、清酒酵母を加えて発酵させたものが、日本酒のもととなる液体「もろみ」。発酵中、米の溶け具合や酸・アミノ酸の状態、アルコール度数などを細かくチェックする段階においても、人の目が欠かせません。

一方で、理想的な温度管理ができる仕込みタンクや、お酒のタイプに応じて熟成度合を調整する貯蔵タンクなど、最新の設備を積極的に導入。人間の五感が必要とされる工程では昔ながらの製法にこだわりつつも、機械化によってさらなる品質の向上を求めています。

ここで「國盛」自慢の日本酒をご紹介。「半田郷 酵母1801」は、愛知県産の酒造好適米「若水」を使用した、香り豊かで華やかな味わいの純米吟醸酒です。「全米日本酒歓評会 2020」では吟醸酒部門のグランプリに選ばれ、フランスで行われた日本酒コンテスト「KuraMaster 2021」でも純米酒部門のプラチナ賞を受賞しました。

現在、製造の多くがオートメーション化されていますが、細かな温度・湿度の管理などは、その年の米の状態なども考慮しながら蔵人が話し合って決定するのだそう。伝統と革新の融合により、移り変わる消費者のニーズに応えた今の時代にふさわしい日本酒が造られています。

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