春の竣工に向けて着実に進行中。モダンな平屋の屋根工事に密着。【三州瓦で住まいを建てるvol.5】

G様邸⑤ 着実な工事で夢を形に。

三州瓦を使用して新居を建てることを決めたG様邸に密着し、竣工までの様子を不定期でご紹介する本連載。

施主のG様(右)とパートナーのM様(左)へインタビューを行い、これまでの4回では、

新居を建てることになった経緯から外装・内装のこだわり、パパママハウスに決めた理由などをお伺いしました。

vol.4はこちら。

 

間取り・設備の仕様も最終確定し、いよいよ施工するのみとなったG様邸。

2023年11月末より、ついに工事が始まりました。

最初の工程は地盤改良工事。

G様邸が建つ土地は、もともと工場の跡地でした。

工場跡地と聞くと一見地盤がしっかりしていそうな印象を持ちますが、地盤調査の結果、想定より軟らかかったそう。

建物の転倒や沈下を防ぐために、軟弱層を掘り、固化材を混ぜ合わせて地盤を強化していきます。

地盤が整備されると、家づくりの土台となる「基礎工事」を経て「建方工事」へ。

建方工事では、柱や梁といった建物の骨組を組み、母屋を実際に建てていきます。

竣工後の大きさや間取りを捉えやすい段階になり、

G様やM様も時折現場を見学しては、家のスケールを確認し、ワクワクしているそう。

床板が張られ、屋根の構造材をすべて組み、棟上げとなります。

棟上げが済むと、いよいよ屋根を瓦で葺いていきます。

屋根材として使用するのはエスパニカのブレンデッドグリーン。

スペイン瓦の形状を日本の風土などに合わせて改良した瓦で、

従来よりも縦方向に約10mm長い重なりを持ちます。

これにより防水機能や断熱性は一段とアップし、浮き上がり防止機能により瓦のズレも防止します。

G様邸は、道路に面した北側は6寸勾配、反対側の南側が4.15寸勾配と、南北で勾配が異なる招き屋根。

道を行き交う歩行者や車両には、大きく垂れた立派な屋根が目に飛び込んでくる作りです。

玄関部分には東西に向けて6寸勾配ずつ流れるポーチが冠しています。

また、中庭も設けており、その上空には屋根はありません。

このように複雑な屋根の構造をしているG様邸。

それぞれの位置で細かな調整が必須です。

屋根の形や大きさをもとに「軒の出」と「妻の出」の打ち合わせを行い、

必要な種類の瓦と枚数を計算して瓦メーカーに発注をします。

G様邸には約2900枚の瓦が使用されます。

工法は、瓦を引っ掛けるための桟木を屋根に取付けて、

それに瓦を引っ掛ける「引掛け桟瓦葺き工法」が採用されました。

まずは桟木の上に瓦を取り付け、続いてビスでしっかりと瓦を固定。

平部の部分は一本のビスで、軒先や妻側けらばは三点のビスで緊結し、一枚一枚、職人の手によって葺かれていきます。

従来、瓦の葺き方は、瓦を葺き土に密着させる「土葺き工法」が主流でした。

しかし1995年に発生した「阪神・淡路大震災」などの影響で工法が見直され、

近年は、より耐震性・耐風性を高め、屋根重量も約1/2に軽量化できる「引掛け桟瓦葺き工法」がメジャーになりました。

さらに2022年には、国土交通省の号令のもと、瓦屋根の緊結方法が強化されました。

これは2019年に発生し、千葉県に甚大な被害を及ぼした台風15号(房総半島台風)の影響によるものです。

2001年に業界基準として策定された「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」を基準に被災地域の瓦屋根を比較すると、

ガイドライン工法と非ガイドライン工法では、明確に被害状況の差があることが確認されました。

そこで、以前は「銅線、鉄線、くぎ等で緊結」とされていた緊結方法が、

「軒・けらばは3本のくぎ等」「むねはねじ」など、瓦の種類、部位、基準風速に応じた緊結方法を規定されました。

これにより、さらに耐風性・耐震性が飛躍的に向上。

ガイドライン工法は国が認める防災・減災の工法なのです。

安心・安全という点も職人たちによって着実に叶えられているG様邸。

次回は、棟上げを終えられた新居を見たG様・M様に、現在のお気持ちを伺います。

 

vol.6はこちら。

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