三州瓦の里をぶらり散歩。瓦の多彩な表情に出合える町。

鬼みち ①  ―高浜港駅から高浜市やきものの里かわら美術館―

衣浦港の東岸に広がる高浜市。

瓦に適した粘土が採れ、水運を活かした輸送の利便性などから、三州瓦の主産地として発展を遂げました。

町を歩くと、瓦の産地であることを色濃く伝えるスポットや施設がそこかしこにあり、

町の人々が守り継ぐ瓦文化への誇りと愛着に心が揺さぶられます。

三州瓦の里である高浜市を象徴するのが、名鉄「高浜港駅」から衣浦大橋のふもとへと向かう大浜街道沿いのルート。

今回ご紹介する散歩道を含む、「三河高浜駅」までの小路をたどる約5km、2時間のウォーキングコース「鬼みち」は、

「新日本歩く道紀行100選 ふるさとの道」「美しい日本の歩きたくなるみち500選」にも選ばれるなど、

古き良き日本の風景を今に伝えています。

まずはスタート地点となる名鉄三河線「高浜港駅」へ。

駅を出て西へ向かうと「ニコニコ鬼広場」にある巨大な鬼面がお出迎え。

これは、奈良・東大寺転害門の鬼瓦を模した縦4.5m、横4.2mもある巨大な鬼面です。

4トンもの粘土を用い、1年半の歳月をかけて地元の鬼師親子が制作しました。

見る角度や方向によって表情が変わるように見えるので、瓦の質感を感じながら、

いろいろな角度からじっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか。

広場には、地元小学校の児童たちが腕をふるって共同制作した鬼面のモニュメントも。

未来へ向けて、瓦文化の継承を担う小学生の力作にもぜひ注目してみてください。

「ニコニコ鬼広場」から西へ向かい、「青木通り」と呼ばれる県道46号線を渡ると、道幅の狭い路地へと入っていきます。

しばらく歩くと、「鬼パーク」に到着。

大正時代、海運が主流だった瓦の輸送方法が鉄道へと移行したことを機に開かれたのがこの道であり、

道に迫り出してくるような両サイドの傾斜や林が、切通しらしさを感じさせます。

「鬼パーク」には、鬼みちコースのガイド板があり、喜怒哀楽、多彩な表情の鬼面の椅子が並ぶので、

腰をかけて一息つくのもおすすめです。

さらにのんびりと歩を進めると、切通しの斜面にびっしりといぶし瓦が並ぶエリアへ。

いぶし瓦の中には、高浜に伝わる昔話が彫り込まれた陶板が埋め込まれているので、歴史に触れながら散策を楽しめます。

昔話陶板の先で大浜街道と交差する南北の坂道には、土管の坂と呼ばれる撮影スポットがあります。

明治から昭和にかけて、瓦と共に大量に生産された土管が土留として埋め込まれている裏道を歩けば、

やきものの町として栄えた高浜市の往時がしのばれます。

瓦屋根が美しい旧家に目をやりながら大浜街道を道なりに進むと、

目的地である「高浜市やきものの里 かわら美術館」へ到着します。

日本で唯一の瓦をテーマにした美術館で、瓦をはじめ高浜市の歴史や文化に触れることができる施設。

瓦をアートとして鑑賞できるのも、ここならではの楽しみです。

美術館前の瓦屋根を冠したポストをはじめ、敷地内にはユニークな焼き物のオブジェがいっぱい。

高浜らしいとっておきのベストショットを撮影して旅の思い出にしてみては。

「高浜港駅」から「高浜市やきものの里 かわら美術館」へ。

瓦の存在感や魅力に触れる10分ほどの散歩道。瓦文化を遺した先人、

そして今に伝える現代の人々の心意気に思いを巡らせてみてください。

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